一般社会ではある程度の年齢に達すると定年があり、その時点退職します。
さらに延長雇用で働き続ける方もいますが数年程度が限界のようです。
また当然ですが、年齢が上がることで体力的な限界を感じて仕事を引退する方がいます。
ところで理学療法士は何歳まで働くことができるかご存知でしょうか。
高齢の理学療法士は体力的に難しいのではないかという印象がありますが、その実態は「自分がやりたい年齢まで働くことができる仕事」です。
この記事では理学療法士が働く上での年齢制限について、その本質と実態について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
理学療法士の資格は生涯保障される年齢制限のない仕事
理学療法士が働ける年齢に関して、まず申し上げられる点があります。
それは理学療法士免許が「国家資格」であることです。
国家資格について改めて解説すると、政府が定めた基準や試験をクリアした人だけに特定の就業や名称を名乗ることを認める制度です。
理学療法士の場合、理学療法業務を無資格者がすることができますが、理学療法士と言う名称は有資格者しか名乗ることができません。
さらに医療機関や介護施設においては理学療法士が従事しなければ報酬として認められないものがあります。
これらの基準において年齢制限に関する決まりはありません。
したがって理学療法士は国家資格として生涯保障され、業務に就くことが認められています。
国家試験の受験に年齢制限はない
理学療法士は資格を取得するために、はじめに所定の養成校を卒業し国家試験の受験資格を得る必要があります。
養成校に入学するための年齢条件は高等学校(もしくは同程度の学校)を卒業していれば制限はありません。
したがって年齢の下限はあっても制限はありません。
国家試験の受験資格に関しても年齢制限に関する記載はありません。
したがって理学療法士を目指す方は大人になってから始めても問題ありません。
仮に中卒や高校中退だった方でも通信制や夜間部の高校でやり直すことで理学療法士を目指すことができます。
筆者の知人でも高校中退だった女性が子育てを終えてから理学療法士を目指したケースがあります。
また定年前に退職して理学療法士の養成校に入学された方も知っています。
組織の従業員として働くと定年のルールがある
このように理学療法士を目指すことに大きな制約はありません。
では、理学療法士が実務を行うことができるのは何歳くらいまでなのでしょうか。
まず考えられる制限として理学療法士が多く働いている医療機関や介護施設では定年制を行っている組織が多くあることです。
定年の年齢は徐々に引き上げられていますが、60歳~65歳を定年としている組織がほとんどです。
また多くの組織は定年後も延長雇用を認めていますが、3年から5年程度です。
したがって組織の中で理学療法士が働けるのは65歳程度までと考えるのが妥当です。
組織の中にいれば年齢制限があるのは仕方ありません。
組織の中では理学療法ができなくなる
従業員が比較的多い医療機関や介護施設になると、多くのスタッフを指揮管理する業務を行う人材が必要になります。
そういったいわゆる「管理職」は組織の中で長期間良い働きをしている従業員から選抜され、昇進します。
これは理学療法士でも例外ではありません。
すでにリハビリ部門で管理職に従事している理学療法士であれば、いずれ組織全体の管理職へ引き上げられます。
給与など待遇面は良くなりますが、理学療法士としての仕事はほとんどできなくなります。
早く昇進する理学療法士であれば40代でも理学療法の実務を離れざるを得なくなります。
人の介助や運動指導は体力のいる仕事
理学療法士は体力面で年齢の限界が早いと言われています。
患者様や利用者様の中には全身を介助して訓練や治療を行うことがあります。
そのため理学療法士自身も業務の中で膝や腰に大きな負担をかけています。
特に女性の場合、比較的筋力が低いため年齢的な限界を早く感じることが多くあります。
現役の理学療法士の間では体力的な限界は男性で60歳くらいから、女性の場合は50代から感じると言います。
つまり、資格としての年齢制限はないけど、体力的な年齢の限界はある仕事ということです。
理学療法士はスキルがあれば何歳まででも働ける
理学療法士は名称としては生涯名乗ることができますが、仕事としては早期に引退せざるを得ないものなのでしょうか。
でも実際の現場をうかがうと年齢による引退が早いとは言いきれません。
体力的な面ですが、理学療法士は患者様や利用者様の介助法ではプロフェッショナルです。
自らの身体的負荷を少なくしつつ、患者様や利用者様には効率的な動作訓練になる介助を行います。
他の医療職が行う介助は、移動や動作を素早く行ってもらうことが目的になるため介助者の力任せになることが多くあります。そのため介助者が腰やひざを痛めることがあります。
一方で理学療法士が行う介助は治療や訓練が目的です。
つまり患者様や利用者様にも最大限の力を出してもらいながら、理学療法士は足りない部分を介助するのです。
したがって理学療法士は自らの介助スキルを高めることで想像以上に長く働き続けられる年齢制限がない仕事なのです。
理学療法士はスキルがあれば雇ってもらえる
理学療法士は医療技術の専門職です。
たとえば、法人の定年制度における年齢制限に達していても、その高いスキルを求める法人や経営者は存在します。
ただ、比較的大きな法人になると年功序列があるため、高齢の理学療法士を雇うことに躊躇します。
一方でクリニックやデイサービスなど比較的小さな法人であればフラットな組織であることが多く、年齢に関係なく条件が一致すれば採用します。
筆者が聞いた話では70歳になっても整形外科クリニックで理学療法士として勤務している方がいます。
理学療法士は自らトレーニングすることで体力を維持できる
理学療法士は骨や関節、そして筋肉に関する高度な知識を有しています。
そのため患者様や利用者様の状況に合わせた筋トレやストレッチの方法を指導することができます。
そして理学療法士自身も自らの身体の状態を察知して適切なストレッチや筋トレを行うことができます。
したがって理学療法士は同年代の方たちに比べて体が柔らかく、筋力が高くなる傾向があります。
そしてそれは高齢になっても理学療法士として働き続けられる可能性が高いと言えます。
理学療法士はスキルを活かして起業や開業ができる
また、理学療法士は触診による施術や体操指導が得意分野です。
そのため健康維持や増進の分野で起業や開業をすることができます。
さらに介護分野では事業所を開くこともできます。
組織内では高齢のため退職を迫られたとしても、理学療法士のスキルを磨き続けていれば起業や開業をすることで現役を続行することができます。
理学療法士は「生涯現役」を目指せる仕事です
この記事では理学療法士の仕事に年齢制限や限界があるのかについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事では以下のポイントにまとめることができます。
- 理学療法士は国家資格として生涯身分が保障されること
- 理学療法士は養成校の入学や国家試験にも年齢制限はないこと
- 理学療法士も組織で働くと定年などのルールで引退があること
- 理学療法士は肉体労働のため体力的限界のリスクがあること
- 理学療法士の介助は治療目的なのでそれほど重労働ではない
- 理学療法士は高齢でも腕とやる気があれば雇われること
- 理学療法士は仕事で指導する体操を用いて体力づくりができる
- 起業や開業することで生涯現役も可能なこと
理学療法士は向上心を持ってスキルアップ取り組む仕事です。
したがってベテランになるほど若い時よりも熟達していることが多くあります。
筆者は理学療法士になって20年ほどになりますが、毎年のようにスキルアップしていることを感じています。
もし生涯かけて取り組みたい仕事を志望される方は、理学療法士と言う選択肢があることを知ってもらえれば幸いです。
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