介護業界に来られる方は様々です。
介護の専門学校を卒業して介護施設に入社して働いている方。
一般企業で働いていたけれど辞めて介護施設で働いている方。
働きだした経緯は違うけれど施設で働いておられます。
専門学校卒業された方は、比較的高齢者のお世話が好きだから志した方が多く見受けられます。
では他の業界から来られた方はどういった気持ちで介護業界へ来られたのでしょうか?私が実際働いている施設のリアルな意見も混ぜてご紹介致します。
高齢者が好きで介護業界に入ったわけではない人も多い
私が実際働いている施設で他の職種から来られた方に介護業界に飛び込んだ理由について聞いてみました。実は高齢者が好きかどうかは関係なく、別の理由が多いようです。
直接人と接する仕事がしたかった
工場で流れ作業の仕事をしていて人と話す事が殆ど無かったので、人のためになっているのか自分で分からなくなってきた。と話されていました。
自分が扱っているものがお客様にどういう評価を得ているのか知りたかった、しかし工場勤務だとリアルな声が届かず、徐々にやる気を見失っていかれたそうです。
また別の方はお金を直接扱う仕事をしていて人間関係に疲れたと話されていました。
あやふやな人間関係の上に成り立つ業界で人との信用信頼とは何かを模索している際に仕事を辞めて介護の仕事に挑戦してみようかな、と考えたそうです。
介護福祉士の資格を取りたかった
手に職を付けたかったと話される方もいらっしゃいました。
その方は介護福祉士を取得したいという思いで働き始めたそうです。介護福祉士資格の資格取得要件は現場で5年間介護士の仕事に従事する必要があります。それが目的で働きだしたとの事でした。
介護福祉士は介護分野の専門家です。
立派な国家資格ですし、取得できれば一生ものです。どこの施設でも介護福祉士として従事する事が出来ます。このように経験を積むために介護業界に来られた方もいらっしゃいます。
働ける場所がここしかなかった
他の業種の仕事が長続きせず介護施設しか働く場所が無かった方もいます。
人には得手不得手があります。手先が不器用でものづくりは向いていない。人と話すのが苦手で営業職は向いていない、数字が苦手でお金の計算が苦手、様々な人がいます。
介護の仕事は高齢者のお世話をする仕事です。
手先が不器用でも、数字が苦手でもおしゃべりが苦手でも問題ありません。体力が無い方でも問題ありません。いずれ身体が慣れます。
このように介護施設は自分が苦手なフィールドで働いてきた方が活躍出来る場所でもあります。
給料が良かった
少数派の意見でしたが“お給料が良かった”という意見もありました。介護士の基本給は他の業界に比べると低賃金です。これは誰がどうみても明確です。
しかし夜勤をこなす事で夜勤手当が付与されます。
金額は施設によって異なりますがある程度こなす事で一般職にはやや劣る物のそれなりのお給料が貰えます。
夜勤手当が欲しいがために夜勤帯のみ働く方も存在します。また、資格を所持していると資格手当があたる事業所もあります。
ある程度知識や経験、資格を持っている方だと優遇されるのも介護施設の特徴です
介護職員として高齢者と接してみて感じた事
では実際にお年寄りと接して仕事をするうちに高齢者に対する気持ちは変わったのでしょうか。
お世話をしているうちに仕事に対する気持ちが変わってきた
介護職を始めた当時は自分の生活のために働きだしました。
高齢者に携わる仕事が嫌では無いけど好きでもないと言うのが本音でした。介護業務も淡々と事務的にこなしていました。
ご利用者様の会話もこちらからは話しかける事はごく僅か、ほぼ聞くことに徹していました。理由は面倒くさいからでした。
しかしある時、いつもお話していた高齢者の方からこれまで聞いた事が無い悩み事の相談をされました。自分一人ではどうしてよいか分からず上司に報告すると「あの人結構無口なの。
あなたがいつも話を聞いてくれていたから話をしてくれたのね」と言われてハッと気づきました。
それからは私には割と話をしてくれるようになり、表情にも変化が現れました。
私が何気なく行っていた会話も支援のヒントの手助けになったのだと初めての介護業界での成功体験をしました。
そこから少しずつ気持ちに変化があり、話を聞くだけでも人のためになっているのだなと意識が変わりました。
正直介護職には抵抗があった
介護は誰でも出来る仕事だ、とは言うもののやはり抵抗はありました。環境も女性も多い職場ですし夜勤もあるのでこれまでとは勝手が違う。
当初は「続けられるのか」と不安になる事もありました。
しかし、一緒に働く人にも助けられて徐々に慣れていきました。働く業務内容よりも、一緒に働く職員や待遇など職場環境は非常に大切だなと感じました。
現場が好き
元の仕事は社会福祉士で相談業務や関係各所の調整を行っていました。
本当は介護の仕事がしたくて介護士希望で入社したのですが、地域連携室(ソーシャルワーカーの部署)の人員が不足している事を告げられ異動になりました。
しばらく相談業務を行っていたのですがやりたかった仕事では無かったので長続きしませんでした。お給料面も介護士より社会福祉士の方が多いですが、それだけじゃないなと感じていました。
結局そこは退社してしまい次に面接で受けた介護施設では、正直に「現場で働きたい」と申し上げました。その後は現場で介護士として従事しています。
相談業務も嫌いではありませんでしたが、ご利用者様と相談事だけじゃなく普段の会話も出来る点が良いなと感じました。
こんな高齢者だったら進んで介護したい
介護士をしていて自分が進んで介護したい方の特徴をいくつかご紹介致します。
感謝してくれる
「いつもありがとうね」と感謝されるために介護士をしているわけではもちろんありません。ですが実際に感謝されるとそれは嬉しいものです。
我々はサービス業ですから支援を受けている側もしてもらえて当たり前の顔をして受けても良いです。
ですが少しでも身の回りの事をしてくれてありがとうの気持ちを持っていただけると、サービスを提供する側も温かい気持ちになります。
自分の好き嫌いによって対応を変えるのはご法度ですが、そこは人間ですので嬉しいものは素直に嬉しいと感じます。多少、文句を言われても日ごろの感謝の気持ちが伝わるとこちらの疲れも吹き飛びます。
物知り
博識な方はやはり好まれます。
人生の先輩として接せられる所も良い点です。現在では理解出来ないような環境や経験をされた方の体験談は非常に興味深いものがあります。
長年の趣味や知識、様々な人生経験をされてきているので話に説得力があるなと感じています。また他者に危害を加えない安全な所も好感触です。
将棋や麻雀が得意
将棋や麻雀が非常に上手な方が稀にいらっしゃいます。
介護職員の中でも好きな方が多く日常会話でもその話題で盛り上がります。そういった勝負事や娯楽が上手なご利用者様がいらっしゃると共通の話題があるので接しやすいでしょう。
また、上手なだけあって知らない職員へ語りたがります。将棋や麻雀を全く知らない職員でも教えてくださるので問題ありません。楽しい会話ができるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
介護施設で働いている職員は全員が高齢者を大好きという訳ではありません。生活のためやキャリアのため等、理由は様々です。
しかし働いている人が「介護の仕事」嫌いじゃない、「高齢者と接するのも悪くない」思ってもらえるとそれだけで良いと個人的に感じています。
介護という仕事を通じて様々な事を学び、経験してもらえると幸いです。